IIHF (International Ice Hockey Federation, 国際アイスホッケー連盟) のオフィシャル・ルールブックに規定されているリンクのサイズは、長辺 60m、短辺 26〜30m です。
IIHF が主催する国際大会では短辺30m、北米のプロアイスホッケーリーグである NHL (National Hockey League) の規格では26mと区別されてきましたが、IIHF 主催大会が NHL 規格のリンクで開催されることがあります。
この大きさのリンクで、両チーム6人ずつが氷に上がって試合が行われます。
アイスホッケーのリンクには中央に赤い「Center Line」、センターラインから両サイド, 等距離に「Blue Line」が有ります。
これら3本のラインでリンクを区切り、自陣ゴールから攻めるゴールに向かって
- ディフェンディング・ゾーン (Defending Zone, DZ)
- ニュートラル・ゾーン (Neutral Zone, NZ)
- アタッキング・ゾーン (Attacking Zone, AZ)
と呼んでいます。
相手チームを起点にしても同じように呼びますので、ディフェンディング・ゾーンは相手チームにとってのアタッキング・ゾーンです。
アイスホッケーはゴール裏のスペースでもプレーできるのが特徴の一つですが、「Goal Line」外側のゴール裏スペースに台形を描くようなラインが有って「Goalkeeper Restricted Area」を形成しています。また、ゴール前には青く目立つ領域が有り、ゴール・クリーズと呼ばれます。
これらのライン, エリアに関連して観戦時に知っておきたい事項を以下で説明していきます。
センターライン | アイシングの境界線
アイスホッケーはフェンスに囲まれたリンクで試合が行われるため、パックが外に飛び出してプレーが止まることは多く有りません。相手の攻撃を断ち切るためにとにかく前方に強くパックを放てば、パックを相手陣内の奥深くに押し戻すことができてしまいます。
こうした安易な守勢挽回を防ぐためにアイスホッケーには「アイシング」というルールがあります。
センターラインより手前の自陣側から放ったパックが相手に触れることなくゴールラインを越えてしまうとアイシングがコールされ、プレーが止められてディフェンディング・ゾーンでのフェイスオフで再開されます。陣地を回復しようとパックを前方に送っても戻されてしまう、という訳です。
選手が自由に交替できることがアイスホッケーの特徴の一つですが、アイシングを犯した側は交替ができません。アイシングが続くと疲労が溜まった状態で守勢が続くことになります。
相手の攻撃に耐えてパックを取り返して前方に運んで反撃が始まる、と思われたもののセンターラインを越えてすぐにパックを前方に放り出して相手にパックを渡してしまうシーンがたびたび見られます。これは、反撃よりも交替を優先させているのです。
アイシングにならないようにセンターラインを越えるまでパックを進めたら手放して、相手陣深くにパックを送っている間にフレッシュな選手と入れ替わって態勢を整えています。
ペナルティーを犯した選手は一定時間ペナルティーボックスに入ってプレーできなくなり、人数差が有る状態でプレーが行われる局面が有るのもアイスホッケーの特徴の一つです。この人数差が有る状況で、人数が少ない側にはアイシングは適用されません。
両チームの人数が揃っている状況でも、以下のケースではアイシングはコールされずプレーは続行します。
- ゴールラインを越えたパックに、パックを放った側の選手が先に触れてプレーを続行できると判断されたとき
- パックを放った側とは反対側の選手が、パックを追わないとき
- パックを放った側とは反対側のゴールキーパーが、パックに反応してゴール・クリーズの外に出たとき
ブルーライン | 固定されたオフサイドライン
攻め上がってアタッキング・ゾーンに突入するにはパックが選手より先に AZ に入ることが必要です。選手が先に AZ に入ってパックを待ってプレーしようとするとオフサイドになります。
サッカーのオフサイドラインが最後尾にいる守備側選手の位置に応じて変わるのに対して、アイスホッケーではブルーラインに固定されています。
オフサイドの判定は足(スケート)の位置で判断されます。パックよりも先にブルーラインを越えないように寸前で踏み止まったり、片足をニュートラルゾーンに残そうとするシーンを見かけることがありますが、オフサイドになるのを防ごうとしているのです。